糖尿病の予防・治療をしていく上で、欠かせないのが血糖値の測定・コントロールです。でも、血糖値がどれぐらいであれば標準値だと言えるのか、もし標準を上回った場合はどのように対策すればいいのか、ということは分からないという人が多いと思います。
そこで、ここでは血糖値の基準値についてと、基準値を超えた場合の対策についてご紹介したいと思います。
血糖値とは?
血糖値というのは、「血液中にどれぐらいのブドウ糖があるか?」という値のことを言います。お米やパンなどの炭水化物や、ケーキやジュースといった甘いものに含まれるのが「糖質」で、体内で消化されブドウ糖になり、脳や体を働かせるためのエネルギーとして使われています。
体内に入った糖質は胃腸で消化・吸収され、血液中に溶けだしていきます。ブドウ糖は消化・吸収されるのが早いので、食事をするとすぐに血液中にブドウ糖が溶けだします。そして、余った分は肝臓や筋肉に「グリコーゲン」という形で蓄えられることになります。
血液中のブドウ糖を使い果たすと今度は肝臓や筋肉にたくわえたグリコーゲンがエネルギーとして使われる、という仕組みになっているんです。
さて、血糖値は、血液中にどれぐらいのブドウ糖があるか、という値ですから、空腹時には低い数値になっています。これが食事をするとブドウ糖が補給されることによって数値が上がり、食後しばらくすると徐々に血糖値は降下していくのです。つまり、体重のように1日いつ計ってもだいたい同じぐらいなのではなく、血糖値は一日の中でも大幅に数値が上下しているものなんですね。
血糖値は糖尿病の診断をする際の基準になりますが、これは「空腹時血糖」を基準にしています。空腹時は本来血糖値が低いはずなのに高くなっていれば、糖尿病の疑いがある、というわけです。
血糖値の標準値
まずは、血糖値の標準値です。
正常範囲:空腹時血糖値 100dL未満/食後血糖値 140dL未満
正常高値:空腹時血糖値 100~109dL/食後血糖値 140dL未満
境界型糖尿病:空腹時血糖値 110~125dL/食後血糖値 140~199dL
糖尿病:空腹時血糖値 126dL以上/食後血糖値 200dL以上
- 正常範囲:空腹時血糖値 100dL未満/食後血糖値 140dL未満
- 食正常高値:空腹時血糖値 100~109dL/食後血糖値 140dL未満
- 境界型糖尿病:空腹時血糖値 110~125dL/食後血糖値 140~199dL
- 糖尿病:空腹時血糖値 126dL以上/食後血糖値 200dL以上
HdA1cの標準値
糖尿病かどうかを判断する上で、もう一つ大事な指標になるのがHdA1cという数値です。これは血液の成分である「ヘモグロビン」に、どれぐらいの糖が付いているか?ということを知るための数値です。ヘモグロビンは、血管を流れているあいだに糖を吸着するという特性を持っています。そして、ヘモグロビンに付着する糖の量が多すぎる場合は、「血液中に糖が有りすぎる=糖尿病の疑いあり」と判断することができるのです。
- 正常範囲:NGSP 5.5%未満
- 食正常高値:NGSP 5.6~5.9%
- 境界型糖尿病:NGSP 6.0~6.4%
- 糖尿病:MGSP 6.5%以上
【※注意※】
血糖値・HdA1cの数値が高いからと言って、即糖尿病だと決まるわけではありません。糖尿病かどうかは、医師の診断によります。
血糖値が高い場合にすべきこととは?
血糖値が正常値を超えていた場合でも、すぐにインスリン注射を打つといった薬物治療をしなければならないわけではありません。まずは、生活習慣の見直しの観点から対策をしていくことになります。
◎食事療法
◎運動療法
この2つを実践することが大切です。
【食事療法の内容】
基本的には、【糖質制限食】を実践することになります。その名の通り糖質を制限した食事をすることで、主食や甘いものといった糖質の高いものを減らした食事のことを指します。
また、血糖値が上がりやすい食品を避けて、血糖値が上がりにくい食品を食べるようにすることも大切です。血糖値が高い人は血糖値を下げる能力が低下している状態ですから、むやみに血糖値を上げないようにして、血糖値をコントロールしていくことが有効です。
さらに、肥満体型の人の場合はカロリー制限もおこなう必要があります。糖質を制限した時点でわりと低カロリーな食事内容になりますが、これ以上太らないようにして減量を目指すには、糖質以外にも脂質の摂取も控えて、摂取カロリー自体を減らしていくことも大切です。
【運動療法の内容】
運動でおすすめなのは、有酸素運動です。有酸素運動というのは激しい運動ではなく、少し息が上がる程度の運動のことを言い、1日30分程度続けると効果的だと言われています。
代表的な有酸素運動と言えばウォーキング。週3日程度でもいいので、30分以上ウォーキングをすることによって血糖値を下げることができます。他にも、ジョギングや水泳、踏み台昇降などさまざまな有酸素運動があるので、ライフスタイルや体力の有無などによって最適な運動を選ぶのがいいでしょう。
血糖値が高い場合は経過を観察することが大切!
1回の検査で血糖値が高かったとしても、上記のような対策をおこなうことによって血糖値を改善することができます。ですから、できればこまめに血糖値を測定し、血糖値がどのように変化しているのかを把握した方がいいでしょう。
血糖値は努力次第でコントロールすることが可能ですから、今血糖値が高めの人は早めに医師に相談し、血糖値コントロールの対策をおこなうようにしてくださいね。