爪乾癬治療
残念ながら爪乾癬は治療が厄介な乾癬の中でも特に難しい病気です。汎発性膿疱性乾癬のように全身衰弱により生命が脅かされるような事態には陥りませんが、確実な治療法が確立されていないのと患部が人目につきやすい為、非常に辛い思いをさせられます。薬剤は爪の根っこ部分の爪母に塗布されますが、同じ皮膚でも普通の肌とは違い非常に硬いので、有効成分を浸透させるのに苦労します。せっかく染み込ませたとしても、症状が悪化するとちょっとした刺激で剥がれ落ちてしまうので根気良く治療に取り組む必要があります。 従来の治療法としては「5倍希釈ケナコルト懸濁液を爪母に局注」、「あらかじめ尿素軟膏の密封法を行い粗造な爪を取り除いた上で、外用薬のコルチコステロ イド軟膏を塗布」、「1日2回爪甲に1%5―Fu軟膏を外用」などの治療法が一般的でしたが、現在は外用ステロイド軟膏、高濃度ビタミンD3軟膏のドボネックスやオキサロールなどを爪母にすり込むようにして塗布する治療法が選択されています。
また、爪乾癬に対して単独的に用いられることはありませんが、他の乾癬が重症化、難治性化した場合生物学的製剤を爪にも試みるケースは増えています。高額な治療費や副作用など問題も多いレミケード治療ですが、爪乾癬にも高い治療効果が報告されています。 患者さんご自身のお手入れとしては、変形し浮いてくる爪が剥がれ落ちないよう、普段から爪は短くカットし、爪の先が引っかからないよう爪やすりなどで磨いておくと安心です。ただし凸凹が激しくなるとただ爪をカットするだけでも一苦労です。爪に白い線を確認したら初期症状かも知れませんから、できるだけ早い段階で皮膚科に診て貰うようにしましょう。